測量・設計・補償コンサルタント
路線測量
路線測量とは一般的には道路の新設に当たってその位置を決定するため現況を調査し、調査資料に基づいて計画された位置を地上に測設し道路建設事業に必要な資料図を作るまでの測量をいいます。
路線測量工程図
(1)作業計画
作業内容の把握・・・・・・共通仕様書、特記仕様書、作業規程等による作業内容の把握。
資料の収集・・・・・・・・貸与資料(線形図、設計図、地形図、用地図等)
現地踏査・・・・・・・・・測量の目的を十分に理解し、作業の要点を調査する。
作業方法・・・・・・・・・踏査結果を踏まえ、最も適した作業方法を計画する。
作業工程・・・・・・・・・納期等から工程計画をたてる。
作業班編成・・・・・・・・主任技術者及び作業責任者、作業員の人選
使用機器・・・・・・・・・使用機器の検定、機能点検及び資材等の調達
安全管理・・・・・・・・・労働災害が発生しないよう作業従事者への安全の徹底。緊急時の連絡体制について。
(2)線形決定
①線形決定は、縮尺1/1,000以上の地形図に路線選定の結果に基づいて線形を表わす直線及びIPを描画し、円曲線及びクロソイド曲線を挿
入して、それらの地図上の位置関係が設計条件及び現地の状況を満足するまで調整を行い、地図上の交点IPの位置を座標として定め、
線形図を作成する作業である。
なお、設計条件のひとつに、道路を構築するに当たって移動させることのできない条件にある点を条件点という。
② 前記①で決定された線形は設計条件に基づいて曲線の諸元(曲線を構成する要素)を計算し、線形を表わす主要点(起点BP、終点E
P、円曲線始点BC、円曲線終点EC、曲線の中点SP等)、必要な中心点(通常、測点又はNO.杭と呼び、間隔は20mを標準として
いる)については座標を算出して基準点から現地に設置できるようにする。
(3)IP設置測量
線形決定により定められた座標値を持つIPは、4級以上の基準点に基づき、放射法等により設置する又座標値を持たないIPは、基準点
等から測量して座標値を与えることを総称してIP設置測量という。
IPは線形計算の基準となる重要なポイントではあるが、必ずしも現地に設置する必要はない。
山地部では長い接線長を伐採してIPを設置したり、都市部では建物の内部にIPが入ったり、交通の激しい道路の真ん中に入ったりする
場合に、あえてIP杭を設置しなくとも線形計算及び中心線測量は実施できるので、必要がある場合のみに設置する。
(4)中心線測量
中心線測量は、中心線形を現地に設置する作業であり、線形を表わす主要点及び中心点を既に計算された座標を用いて、現地に設置された
交点IP又は最寄りの基準点等から測設し、線形地形図を作成する作業である。
主要点、中心点を測設する方法について以下の2つの方法を示す。
①放射法
基準とする点と測設しようとする点の座標値から方向角と2点間距離を計算しておき、基準となる点にTSを整置して、先に求めた計
算値により測設する位置を決定する方法である。
②視通法
この方法は、IPと隣接のIPとの間に視通がとれる場合にIPにTSを据え、隣接のIPとの直線上にある主要点及び中心点を打設
する方法である。
(5)仮BM設置測量
仮BM設置測量は、縦断測量及び横断測量に先立って実施し、高さの統一性、利便を考慮して仮BM(水準点)を現地に設置し、標高を求
める作業である。
仮BM設置のための測量においては、平地部では3級水準測量、山地部では4級水準点測量を行う。
仮BMは通常、路線の始点、終点の地盤堅固な場所に設置する。
ただし、建設工事によって亡失しない位置を選定することとする。
なお、路線長が0.5kmを超えるものについては、路線に沿って0.5kmごとに1点を標準とする。
(6)縦断測量
縦断測量は、工事設計等に必要な中心線の鉛直面の断面図を作成する測量である。
中心杭間の距離は測定されているので、杭頭と地盤の高さを測定するが、中心杭間で地形の変化点、既設構造物の位置は距離を測定し必要
な標高を求める。
縦断測量においては、平地部では4級水準測量、山地部では簡易水準測量により測定を行うものとする。
観測は仮BMから出発し、他の仮BMに結合する。
また、往路においては中心杭高・地盤高・変化点・構造物の標高について、復路においては中心杭高の測定を行う。
なお、地形及びその他の状況により、直接水準測量に代えて間接水準測量によることができる。
(7)横断測量
横断測量は、中心杭等を基準にして、中心点における中心線の接線に対して直角方向の線上にある左右の地形の変化点及び地物について、
中心点からの距離及び地盤高を測定し、その結果に基づいて横断図面を作成する業務である。
観測に先立ち、横断方向見通杭を中心杭の左右に設置する。中心杭から端部まで見通しがきかない場合は中間見通杭を打っておく。
観測は、中心杭(縦断測量にて標高決定)を後視として、中心杭から順次に左右の変化点の距離と高さを測定し、標尺の読み取り高及び視
準距離の限度を超える場合は、ターニングポイント(TP)を設けて器械を移動し、TPを後視として前段と同様の方法を繰り返し行い、
決められた測量幅まで測定する。
なお、地形及びその他の状況により直接水準測量に代えて間接水準測量によることができる。
(8)詳細測量
路線測量では線状築造物の主要な交差点及び重要な構造物設置場所等において、一般に使用する地形図(1/500,1/1000)では設計上支障を
きたし、より詳細な地形図を必要とする場合がある。
したがって、詳細設計上必要な平面図、縦断面図及び横断面図を大縮尺によって作成する作業を詳細測量という。
(9)用地幅杭設置測量
用地幅杭設置測量とは、取得等に係る用地の範囲を示すため所定の位置に用地幅杭を設置し、杭打図を作成する作業をいう。
用地幅杭の設置方法は、あらかじめ実測横断面図(設計済)で定めた用地幅杭を平面図に展開、中心点等から中心線に対して直角方向の用
地幅杭点座標値を計算し、放射法により打設する。
田園地帯等で用地幅が一定の場合は、視通法でも行うことができる。
用地幅杭設置後は地形図(縮尺1/500程度)に用地幅を記入して杭打図を作成する。
杭打図は基準点・役杭・中心点及び用地幅杭を記入し、設置方法を図示すると共に用地幅杭の種類(コンクリート杭、木杭、プラスチック
杭、鋲)を明示する。